企業には、従業員に健康診断を受けさせる義務があります。しかし、健康診断は「実施して終わり」ではありません。結果をふまえた「事後措置」までが、法令上求められる企業の義務です。本コラムでは、健康診断後の事後措置の基本を整理します。
医師の意見聴取と就業区分
事後措置の第一歩は、健診結果の確認と医師の意見聴取です。異常の所見があると診断された従業員については、就業上の措置の必要性について、3か月以内に医師(通常は産業医)の意見を聴かなければなりません。産業医は結果を確認し、「通常勤務でよいか」「就業に制限が必要か」「休業が必要か」といった就業区分に関する意見を述べます。
意見をふまえた措置の実施
必要に応じて、労働時間の短縮、作業の転換、深夜業の回数減少などの措置を検討します。措置を行う際は、本人の意見も聴き、納得を得ながら進めることが望まれます。
受診勧奨とフォローの仕組み
要治療・要精査となった従業員への受診勧奨も重要です。特に高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、自覚症状がないまま放置されやすく、将来的に脳・心臓疾患につながるリスクがあります。健診結果を本人に返すだけでなく、受診状況を確認し、必要に応じて保健指導や産業医面談につなげる仕組みがあると、事後措置の実効性が高まります。
現実的な運用の工夫
実務上は、「有所見者が多く、どこから手をつけてよいか分からない」といった悩みがよく聞かれます。優先度の高い対象者(数値が特に高い方、長時間労働と重なっている方など)から順に対応する、面談の場を設けて本人の事情を聴く、といった現実的な運用の工夫が有効です。
健康診断後の事後措置は、従業員の重大な疾患を防ぐと同時に、企業の安全配慮義務の観点からも重要な取り組みです。ハートコミット合同会社では、内科専門医・循環器専門医としての知見をもとに、健診結果の判定から事後措置の運用づくりまで支援しています。体制を整えたい企業は、ぜひご相談ください。
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