Lecture|感染症対策
麻疹(はしか)の基礎知識と
職場での対応
安全衛生委員会講話|スライド3枚|所要約10分。空気感染する麻疹を職場で広げないために、症状の流れ・受診のしかた・接種歴の確認を整理した資料です。
この講話の要点(3行で)
- 麻疹は空気感染し、同じ空間にいるだけでうつることがある感染力の非常に強い感染症です。手洗いやマスクだけでは防ぎきれず、特効薬はないため、MRワクチン2回接種による予防が基本です。
- かぜのような症状→いったん解熱→再び39℃以上の高熱→発疹、と進みます。発熱+発疹があるときは出勤せず、受診前に必ず医療機関へ電話し、公共交通機関を避けて受診します。
- 他人に感染させる期間は、症状が出る1日前(発疹の4日前)から発疹後4日頃まで。接種歴は母子手帳・接種記録で確認し、対人業務・海外渡航・患者との接触があった人などは必要に応じて医療機関で抗体検査やMRワクチン接種を相談します。
講話スライド(3枚)



本資料は、社内の安全衛生委員会・研修での利用に限り、自由にご利用いただけます。改変・転載・再配布はご遠慮ください。内容は作成時点の公開情報に基づくもので、個別の診断・治療の判断は医師にご相談ください。
講話のポイント
1. なぜ職場で重要なのか
麻疹は空気感染するため、せき・くしゃみがなくても同じ空間にいるだけで広がることがあり、1人発生すると職場や家庭に広がりやすい感染症です。主な合併症は肺炎・中耳炎・脳炎で、妊娠中は流産・早産のリスクがあります。特効薬はなく、MRワクチン2回接種と接種歴の確認が予防の基本です。国内では2024年以降、報告数の増加が続いています(速報値の推移はスライド1枚目の脚注参照)。
2. 感染したときの症状と、受診・出勤時の対応
発熱・咳・鼻水・目の充血といったかぜのような症状から始まり、いったん熱が下がった後に再び39℃以上の高熱が出て、数日後に顔から全身へ発疹が広がります。息苦しい、ぐったりして水分がとれない、けいれん、意識がぼんやりする、といった場合は受診を急ぎます。疑わしいときは出勤せず自宅で待機し、受診前に必ず医療機関へ電話し、公共交通機関を避けて受診します。職場には上司・人事・産業保健へ早めに連絡し、接触した可能性がある人を共有します。自己判断で出勤・受診しないことが重要です。
3. 接種歴が不明・1回接種以下かもしれないとき
定期接種の機会は生年月日で異なり、1972年10月1日以前生まれは定期接種の機会がなく、1972年10月2日〜1990年4月1日生まれは1回、1990年4月2日以降生まれは2回の機会がありました(実際には母子手帳・接種記録の確認が優先)。全員が一律に抗体検査や追加接種を受ける必要はありませんが、医療・介護・保育・教育などの対人業務、海外渡航や流行地域への出張、患者との接触があった人、妊婦・乳児・免疫の弱い人と接する人は、必要に応じて医療機関で抗体検査またはMRワクチン接種を相談してください。潜伏期間は通常10〜12日、他人に感染させる期間は症状が出る1日前から発疹後4日頃までで、発疹が出る前のカタル期が特に感染力が強い時期です。
出典・作成時点
- 国立健康危機管理研究機構(JIHS・旧 国立感染症研究所)「麻しんQ&A」「麻しん(詳細版)」/感染症発生動向調査(2026年9月2日現在の速報値。2025・2026年は暫定値)
- 厚生労働省「MRワクチン」(定期接種制度)
- 作成時点:2026年9月(記載内容・速報値は作成時点の情報です)
執筆・監修:黒田 優(精神保健指定医・産業医・総合内科専門医・循環器専門医/ハートコミット合同会社 代表社員)
OCCUPATIONAL HEALTH
感染症が出たときの初動は、平時の共有で決まります。
ハートコミット合同会社では、総合内科専門医でもある代表医師が、顧問先の安全衛生委員会で感染症の基礎知識と職場の対応ルールを共有し、発生時の相談窓口として対応しています。
