Lecture|救急対応
職場の救急対応(外傷編)
「大丈夫です」だけで救急対応を止めない
安全衛生委員会講話|スライド4枚|所要約15分。挟まれ事故・大量出血・切断・やけど・眼の薬品や金属片など、職場のけがへの初動を「あなたならどうする?」の事例で確認する資料です。
この講話の要点(3行で)
- 初動の3原則は、①機械の停止・電源遮断などで二次災害を防ぐ、②「あなたは119番」「あなたはAED・救急箱」と人を指名して同時に動く、③手当を終えてから通報では遅い、です。会話ができることと軽症であることは別で、重い事故では本人の「大丈夫」や上司の返事を待たずに119番と応急手当を行います。
- 止血は傷口を直接しっかり押さえ、ガーゼを何度もめくらず、にじんだら上から重ねて圧迫を続けます。大量出血は止血と119番を同時に。切断した指は清潔なガーゼで包んで袋に密封し、その袋を氷水で冷やして本人と一緒に搬送します(指を直接水や氷につけない)。
- 眼に薬品が入ったら、SDSを探す前に直ちに流水で少なくとも15分間洗眼し、別の人が薬品名・SDSを確認して受診を手配します。ハンダや金属片はこすらず自分で取らず、刺さった疑いがあれば直ちに眼科救急へ。小さな傷でも、しびれ・動かしにくさがあれば経過観察にせず受診します。
講話スライド(4枚)




本資料は、社内の安全衛生委員会・研修での利用に限り、自由にご利用いただけます。改変・転載・再配布はご遠慮ください。内容は作成時点の公開情報に基づくもので、個別の診断・治療の判断は医師にご相談ください。
講話のポイント
1. 「大丈夫です」だけで、救急対応を止めない
助ける前に、機械の停止・電源遮断などで安全を確保し、危険が残る場所に入らず、無理に引き抜きません。次に「あなたは119番」「あなたはAED・救急箱」「あなたは入口で救急車の誘導」と人を指名して役割を分担し、緊急時は上司の承認を待ちません。大出血は圧迫止血と119番を並行して進め、反応がなく普段どおりの呼吸がない、または判断できない場合は胸骨圧迫・AEDを行います。プレス機に腕を強く挟まれた同僚が会話でき「救急車はいらない」と言っても、判断は本人の言葉だけでなく事故の状況・反応・呼吸・出血で行い、重い挟まれ事故として119番します。
2. 押さえているのに、血が止まらないときは?
手袋などで血液との接触を避け、清潔なガーゼやタオルを傷口に直接当ててしっかり押さえます。傷口からずれていないか確認し、片手で足りなければ両手で圧迫します。確認のたびにガーゼをめくらず、血がにじむ場合は剥がさず上から重ねて強く押さえます。大量出血では止まるのを待たずに119番し、止血と通報を並行します。止血帯が必要な場合もありますが適切な使用には訓練が必要で、細いひもや針金で縛ってはいけません。切断した指は本人の救護を優先したうえで、清潔なガーゼなどで包んで袋に密封し、その袋を氷水で冷やして本人と一緒に搬送します。指を直接水や氷につけず、つながっている指は切り離しません。
3. 眼に薬品!SDSを探す?まず洗う?
熱によるやけどは、狭い範囲ならすぐに流水で冷やし、貼りついた服は無理に剥がさず、水ぶくれはつぶしません。広範囲・深いやけどは119番し、広範囲を冷やし続けて体温を下げないよう注意します。薬品が眼に入ったら、直ちに流水で少なくとも15分間洗眼し、並行して受診を手配します。薬品名が分からなくても、SDSを探してから洗い始めるのではなく、洗眼を先に始め、別の人が薬品名・SDSを確認して医療機関へ伝えます。ハンダ・金属片が眼に入ったときは、こすらない・押さえない・自分で取らないが原則で、刺さった・勢いよく飛び込んだ疑いがあれば直ちに眼科救急へ。事故の前に、洗眼設備の場所と使い方、SDSの保管場所を現場で確認しておきます。
4. 小さな傷でも、経過観察でよいとは限らない
意識・呼吸の異常、大量出血、切断、重い挟まれ事故、高所からの転落、頭を打った後の意識異常や繰り返す嘔吐は直ちに119番です。深い傷・刺し傷、異物が残る、しびれる、動かしにくい、痛みや腫れが強い場合は作業を止めて速やかに受診し、手足が白い・冷たい・急に動かせない場合は119番します。経過観察は、浅い傷・軽い打撲で止血でき、痛みが軽く、しびれや動かしにくさがない場合に限ります。傷が小さく血が止まっていても指先がしびれて動かしにくければ、神経や腱の損傷を確認するため受診が必要です。強く挟まれた・感電した・薬品がかかった場合は、見た目だけで軽症と判断しません。迷ったときの救急相談は#7119(実施地域)、緊急時は相談を待たず119番です。
出典・作成時点
- 日本赤十字社「救助者が守るべきこと」「心肺蘇生」「多量の出血」
- 総務省消防庁「救急車利用マニュアル」「救急受診ガイド」/東京消防庁「指等を切断する事故に注意!」「東京版救急受診ガイド」
- 日本眼科医会/MedlinePlus「Chemical burn or reaction」ほか
- 作成時点:2026年9月(記載内容は作成時点の情報です)
執筆・監修:黒田 優(精神保健指定医・産業医・総合内科専門医・循環器専門医/ハートコミット合同会社 代表社員)
OCCUPATIONAL HEALTH
救急の初動は、事故が起きる前の共有で決まります。
ハートコミット合同会社では、総合内科専門医・循環器専門医でもある代表医師が、顧問先の安全衛生委員会で救急時の初動や連絡体制を共有し、事業場ごとの救急対応の手順づくりを支援しています。
