健診のあとが本番 産業医が放置してほしくない所見と面談|安全衛生委員会講話

Lecture|健康管理・生活習慣

健診のあとが本番
産業医が放置してほしくない所見と面談

安全衛生委員会講話|スライド4枚|所要約15分。全国でよく指摘される健診項目、産業医が面談・受診勧奨を行う目安(LDL・血圧・HbA1c・貧血・肝機能・腎機能)、面談の案内が届いたときの受け止め方と使える制度を整理した資料です。

この講話の要点(3行で)

  • 定期健診では、働く人の約6割(令和7年・全国59.7%)に何らかの所見があります。所見の多くは症状がないため、何年も放置されることがあります。
  • LDLコレステロール・血圧・血糖は、症状がないまま動脈硬化を進めます。産業医は、LDL 180mg/dL超・血圧160/100mmHg超・HbA1c 6.5%以上などの目安を超えた人に面談・受診勧奨を行います。
  • 面談の案内は「悪い知らせ」ではなく、働き続けるための機会です。4項目すべてに異常があれば、労災保険の二次健康診断等給付も使えます。

講話スライド(4枚)

働く人の約6割が健診で何かを指摘されています|全国の項目別有所見率(令和7年)
動脈硬化の3つの危険因子は「症状がない」|LDLコレステロール・血圧・血糖(HbA1c)の面談の目安
見過ごされやすい3つの所見|貧血・肝機能・腎機能の面談の目安
面談の案内が届いたら|従業員・会社・使える制度(二次健康診断等給付)

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本資料は、社内の安全衛生委員会・研修での利用に限り、自由にご利用いただけます。改変・転載・再配布はご遠慮ください。内容は作成時点の公開情報に基づくもので、個別の診断・治療の判断は医師にご相談ください。

講話のポイント

1. 働く人の約6割が、健診で何かを指摘されています

令和7年の全国の定期健康診断では、いずれかの項目に所見があった人は59.7%でした。項目別では血中脂質30.7%、血圧18.7%、肝機能16.0%、血糖13.5%、心電図11.3%、貧血9.2%の順です。所見には軽いものも含まれますが、多くは症状がないため、忙しさを理由に何年も見過ごされ、病気が進んでから見つかることがあります。健診は受けて終わりではなく、結果を見てからが本番です。

2. 動脈硬化の3つの危険因子は「症状がない」

LDLコレステロールが180mg/dLを超える、血圧が160/100mmHgを超える、HbA1cが6.5%以上の場合は、産業医が面談または受診勧奨を行い、精査・治療につなげます。LDLは家族に心筋梗塞の人がいる場合、体質(家族性高コレステロール血症)の可能性もあるため特に放置しないでください。血圧は140/90mmHg以上がもともと確認が必要な値です。HbA1c 6.5%以上は糖尿病型の基準の一つで、1回の値だけで確定せず精査で判断します。いずれも症状がないまま動脈硬化が進み、症状が出たときには脳梗塞・心筋梗塞を発症していることがあります。

3. 見過ごされやすい3つの所見:貧血・肝機能・腎機能

貧血はHb(ヘモグロビン)が一桁(10g/dL未満)が面談の目安です。女性に多く、原因は鉄欠乏性貧血が多くみられ、Hbが7台まで下がると疲れやすさ・気分の落ち込み・息切れの原因になっていることがあります。肝機能はAST・ALTが3桁(100U/L以上)が目安で、飲酒や脂肪肝が原因のことが多く、肝硬変まで進むことは避けなければなりません。腎機能は尿潜血と尿蛋白がともに陽性(3+程度)、またはクレアチニンが1.2mg/dLを超える、またはeGFRが60未満が目安です。知らないうちに腎機能が落ち、将来透析が必要になる危険もあり、一度落ちた腎機能は元に戻りにくいものです。

4. 面談の案内が届いたら

面談の案内は「悪い知らせ」ではなく、病気を防いでこれからも働き続けるための機会です。会社は、異常所見のある人について健診日から原則3か月以内に医師の意見を聴くことになっており、面談の時間を確保し、受診したかどうかを確認する仕組みづくりが求められます。血圧・血中脂質・血糖・腹囲またはBMIの4項目すべてに異常があれば、労災保険の二次健康診断等給付で追加の検査と保健指導を無料で受けられます(対象外の条件あり)。請求は一次健診の受診日から3か月以内です。

出典・作成時点

  • 厚生労働省「定期健康診断結果報告」(令和7年・全国)
  • 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」(HbA1cの基準)
  • 労働安全衛生法66条の4・労働安全衛生規則51条の2(健康診断結果についての医師等からの意見聴取)
  • 厚生労働省「二次健康診断等給付の請求手続」
  • 面談・受診勧奨の目安は、産業医(代表医師)の判断基準です
  • 作成時点:2026年10月(記載内容は作成時点の情報です)

執筆・監修:黒田 優(精神保健指定医・産業医・総合内科専門医・循環器専門医/ハートコミット合同会社 代表社員)

OCCUPATIONAL HEALTH

健診結果を、受診と働き方につなげる。

ハートコミット合同会社では、総合内科専門医・循環器専門医でもある代表医師が、顧問先の健診結果を確認し、面談や受診勧奨を通じて精査・治療につなげています。健診結果の就業判定(医師の意見聴取)だけのご依頼にも対応しています。

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