Lecture|循環器
サウナと心臓
飲酒後・脱水・水風呂の危険
安全衛生委員会講話|スライド3枚|所要約10分。サウナ室・水風呂・休憩で心臓と血管に起きる変化、事故につながりやすい4つの場面(飲酒後・脱水・水風呂・心臓の持病)、心臓を守る入り方と異変を感じたときの対応を、循環器専門医が整理した資料です。
この講話の要点(3行で)
- 消費者庁に寄せられたサウナ浴の事故情報は、2014〜2021年度の年平均4件程度から、2022・2023年度は各10件に増えました。40歳以上では、めまい・意識障害や循環器障害も報告されています。
- 飲酒後・二日酔い、脱水、サウナ直後の水風呂、心臓の持病は、心臓に大きな負担がかかる場面です。不安定狭心症、発症から間もない心筋梗塞、重い大動脈弁狭窄症の人は、サウナを避けるべきとされています。
- サウナが心臓を守るかどうかは、まだ証明されていません。入るなら「我慢しない・飲んだら入らない・水分をとる」の3つを守ります。
講話スライド(3枚)



本資料は、社内の安全衛生委員会・研修での利用に限り、自由にご利用いただけます。改変・転載・再配布はご遠慮ください。内容は作成時点の公開情報に基づくもので、個別の診断・治療の判断は医師にご相談ください。
講話のポイント
1. サウナで、心臓に何が起きているか
サウナ室では皮膚の血管が広がって心拍数が上がり、10分間で500mL程度の汗が出るという報告があります。サウナ直後に水風呂に入ると、急な冷たさで血管が縮んで血圧が急に上がり、200mmHg程度まで上がったという報告もあります。不整脈で意識を失うこともあります。消費者庁によると、サウナ浴の事故情報は2022・2023年度に各10件と増えており、40歳以上では、めまい・意識障害や循環器障害も報告されています。
2. 危ないのは、この4つの場面です
飲酒後・二日酔いは、血圧が下がりやすく、不整脈も起きやすい状態です。フィンランドの調査では、サウナ中に亡くなった人の半数が飲酒した状態でした。水分をとらずに我慢すると、体温が上がりすぎて熱中症になるおそれがあり、脱水症状で転倒し、やけどで1か月入院した事例も公表されています。不安定狭心症、発症から間もない心筋梗塞、重い大動脈弁狭窄症の人はサウナを避けるべきとされ、心臓病や高血圧で治療中の人は、主治医に確認してから利用します。
3. 心臓を守るサウナの入り方
入る前に、飲酒後・二日酔いや体調不良でないこと、食事や運動の直後でないことを確かめ、コップ1〜2杯の水分をとります。サウナ室では下段から座り、汗が出たら我慢せずに出ます。水風呂は、ぬるい湯で汗を流し、手足にかけ水をして慣らします。苦手な人は入らなくてかまいません。動悸、胸の苦しさ、めまいを感じたら途中でも出て周囲に知らせ、胸の症状が続くときや意識がはっきりしないときは119番に通報します。なお、サウナが心臓を守るかどうかは、まだ証明されていません。
出典・作成時点
- 消費者庁「サウナ浴での事故に注意 ― 体調に合わせて無理せず安全に ―」(2024年6月5日)および同資料の有識者コメント
- 国民生活センター「見守り新鮮情報 第548号 サウナは無理のない利用を心がけましょう」(2026年8月6日)
- Hannuksela ML, Ellahham S. Benefits and risks of sauna bathing. Am J Med. 2001;110(2):118-126.
- Death in sauna. J Forensic Sci. 2008;53(3):724-729.
- 作成時点:2026年10月(記載内容は作成時点の情報です)
執筆・監修:黒田 優(精神保健指定医・産業医・総合内科専門医・循環器専門医/ハートコミット合同会社 代表社員)
OCCUPATIONAL HEALTH
健診の数値と急な症状を、循環器専門医の目で。
ハートコミット合同会社では、循環器専門医・総合内科専門医でもある代表医師が、顧問先の健診結果を確認し、心臓や血管の病気が心配な方を面談や受診勧奨を通じて精査・治療につなげています。
