職場の救急対応(急病編)心筋梗塞・脳卒中・心停止の初動|安全衛生委員会講話

Lecture|救急対応

職場の救急対応(急病編)
心筋梗塞・脳卒中・心停止の初動

安全衛生委員会講話|スライド4枚|所要約15分。胸痛がない心筋梗塞、すぐ治まる脳卒中の症状、あえぐような呼吸(死戦期呼吸)、119番のあとに伝えることを「あなたならどうする?」の事例で確認する資料です。

この講話の要点(3行で)

  • 心筋梗塞は胸痛だけで判断しません。胸の圧迫感に冷や汗・息苦しさ・吐き気が伴う場合や、みぞおち・肩・腕・あごの痛みも要注意で、高齢者や糖尿病のある人では胸痛が目立たないことがあります。疑わしければ作業を止め、本人に運転させず119番します。
  • 脳卒中はFAST(顔のゆがみ・片腕に力が入らない・ろれつが回らない・時間)で確認し、1つでも突然出たら119番。数分で治まっても一過性脳虚血発作などの可能性があり、救急評価が必要です。呼んだ救急車を自己判断で取り消しません。
  • 反応がなく、普段どおりの呼吸がない、またはあえぐような呼吸(死戦期呼吸)なら直ちに胸骨圧迫・AED。119番では「症状に気づいた時刻」と「最後に普段どおりだった時刻」を区別し、消えた症状や持病・服薬も伝えます。情報収集で搬送を遅らせません。

講話スライド(4枚)

「胸が痛くない」から、心筋梗塞ではない?|胸痛だけで判断しない・胃のむかつきと冷や汗の事例
ろれつが戻った。もう大丈夫?|FASTで確認・治まっても119番・消えた症状も伝える
あえぐような呼吸。「息がある」から大丈夫?|反応がなければすぐに行動・死戦期呼吸
119番のあと、何を伝え、何をする?|2つの時刻を区別・消えた症状も伝える・救急隊の動線確保

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本資料は、社内の安全衛生委員会・研修での利用に限り、自由にご利用いただけます。改変・転載・再配布はご遠慮ください。内容は作成時点の公開情報に基づくもので、個別の診断・治療の判断は医師にご相談ください。

講話のポイント

1. 「胸が痛くない」から、心筋梗塞ではない?

胸の圧迫感・締め付け感に、冷や汗・息苦しさ・吐き気が伴う場合は要注意です。みぞおち・肩・腕・あごなどが痛む場合もあり、特に高齢者や糖尿病のある人では胸痛が目立たないことがあります。同僚が「胃がむかむかするだけ」と言っても、冷や汗が出て息苦しそうなら、胃の不調と決めつけず119番します。本人に運転させず、楽な姿勢で安静にし、「何分続くか」を確認するために通報を待ちません。現場で病名を確定する必要はなく、危険なサインに気づいて救急につなぐことが役割です。

2. ろれつが戻った。もう大丈夫?

脳卒中はFASTで確認します。F(顔)片側の顔がゆがむ、A(腕)両腕を前に上げると片方が下がる、S(言葉)ろれつが回らない・言葉が出ない・話を理解できない、T(時間)1つでも突然出たら119番で、全部そろうまで待ちません。突然の視覚異常、立てないほどのふらつき、経験したことのない激しい頭痛も見逃しません。会議中に急に言葉が出なくなり数分で元に戻った場合でも、一過性脳虚血発作などの可能性があり救急評価が必要です。すでに呼んだ救急車を自己判断で取り消さず、どんな症状がいつ始まりいつ消えたかを伝え、本人に運転させず一人にしません。

3. あえぐような呼吸。「息がある」から大丈夫?

周囲の安全を確保し、肩をやさしくたたいて呼びかけ、反応がなければ大声で応援を呼び、人を指名して119番通報とAEDを依頼します。普段どおりの呼吸かを胸やお腹の動きで10秒以内に確認します。しゃくり上げるような途切れ途切れの呼吸は、心停止で見られる「死戦期呼吸」の可能性があり、正常な呼吸とは限りません。反応がなく普段どおりの呼吸がない、または判断できない場合は直ちに胸骨圧迫を始めます。強く、速く、絶え間なく(約5cm、1分間に100〜120回)。AEDが届いたら電源を入れて音声指示に従います。迷ったら電話をスピーカーにして119番の指示を受けながら対応します。

4. 119番のあと、何を伝え、何をする?

「症状に気づいた時刻」と「最後に普段どおりだった時刻」を区別して記録します。10時にろれつの異常を発見し、9時30分には普通に会話していたなら、発症の瞬間を見ていない以上「発症は10時」とは言えず、両方の事実を伝えます。一度出て消えた麻痺や言葉の異常も重要な情報です。救急隊が来るまで一人にせず反応・呼吸を見守り、変化があれば伝え、反応がなく普段どおりの呼吸がなければ胸骨圧迫・AEDを行います。持病・服薬情報を分かる範囲で準備し、入口から現場まで誘導して救急隊の動線を確保します。時刻が分からなくても通報を遅らせないことが大切です。

出典・作成時点

  • 国立循環器病研究センター「虚血性心疾患ってどんな病気?」「急性冠症候群」「脳卒中」「一過性脳虚血発作」
  • 日本脳卒中協会「脳卒中の主な症状」
  • 日本赤十字社「心肺蘇生」/「救急蘇生法の指針2020(市民用)」/総務省消防庁「救急車利用マニュアル」
  • 作成時点:2026年9月(スライド3枚目は2026年10月に改訂)(記載内容は作成時点の情報です)

執筆・監修:黒田 優(精神保健指定医・産業医・総合内科専門医・循環器専門医/ハートコミット合同会社 代表社員)

OCCUPATIONAL HEALTH

急病の初動は「迷ったら119番」を職場の共通ルールに。

ハートコミット合同会社では、総合内科専門医・循環器専門医でもある代表医師が、顧問先の安全衛生委員会で救急時の初動や連絡体制を共有し、事業場ごとの救急対応の手順づくりを支援しています。

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