産業医を探すとき、多くの企業がまず検討するのが「産業医紹介会社」です。問い合わせれば候補者を紹介してくれて、契約手続きも代行してくれる。便利なサービスであることは間違いありません。
紹介会社の利用自体は選択肢のひとつ。大切なのは、紹介された医師の「専門性」を契約前に確認することです。
ただ、その便利さの裏側にある「仕組み」は、あまり知られていません。私は産業医として、紹介会社からの案件募集のメールを日常的に受け取る立場にあります。この記事では、その内側から見える実態と、企業側が知っておくべきチェックポイントを、できるだけ公平にお伝えします。
紹介会社の多くは「一斉メール」で医師を募集している
まず、紹介の仕組みからご説明します。
多くの紹介会社は、登録している医師に向けて「○○市の企業、従業員△△名、月1回訪問、報酬□□円」といった案件情報をメールで一斉配信します。それを見た医師が応募し、条件が合えば紹介される——これが基本的な流れです。
つまり、御社に紹介される産業医は、「御社の課題に合うから選ばれた医師」ではなく、「その案件メールにたまたま応募した医師」である場合が少なくありません。どんな経験を持つ医師が応募してくるかは、募集をかけた時点では紹介会社にも分かりません。企業側から見れば、「どんな医師が来るかは、来てみるまで分からない」のです。
「産業医資格」は、専門性の証明ではありません
ここが最も誤解されやすいポイントです。
産業医になるために最も一般的なルートは、日本医師会の認定産業医制度です。これは所定の研修(基礎研修50単位)を受講すれば取得できる資格で、医師免許を持っていれば、診療科を問わず取得することができます。
もちろん、認定産業医の研修自体は意味のあるものです。しかし、この資格は「産業医としての最低限の入口に立った」ことを示すものであって、メンタルヘルス対応や循環器疾患の評価といった、個別の専門性を保証するものではありません。
産業医といっても、経験や得意分野には大きな幅があります。例えば、次のようなケースです。
- 精神科の経験がなく、メンタル不調者の面談や休職・復職の判断に対応できない(「専門外なので」と断られるケースは珍しくありません)
- 臨床の第一線から離れて長く、健診結果の判定や就業配慮の判断に不安がある
紹介会社経由の契約で「産業医は来てくれるが、肝心の相談には乗ってもらえない」という不満が生じるのは、多くの場合、この資格と専門性のギャップが原因です。
費用は、実はあまり変わりません
「紹介会社を通した方が安いのでは」と思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
紹介会社を経由する場合、企業が支払う金額には紹介会社の手数料が含まれます(継続的に差し引かれる形が一般的です)。一方、産業医と直接契約すれば、その中間コストは発生しません。実際、当社の料金水準と紹介会社経由の相場を比べても、企業側の負担額に大きな差がないケースがほとんどです。
言い換えると、同じ金額を払っていても、紹介会社経由ではその一部が紹介会社の運営費に充てられている、ということです。同じ予算なら、専門性を確認したうえで直接契約する方が、費用対効果は高くなりやすいのです。
紹介会社を使うなら、この5点を確認してください
紹介会社の利用自体を否定するつもりはありません。使う場合は、紹介された医師について次の点を契約前に必ず確認することをおすすめします。
- 専門資格の内訳——「産業医資格」ではなく、内科・精神科などの専門医資格や指定医資格を持っているか
- メンタルヘルス対応の可否——休職・復職の判断、高ストレス者の面接指導まで対応できるか(「専門外」と言われないか)
- 臨床経験——現在も診療にあたっているか、経験年数はどれくらいか
- 契約前の面談——契約を決める前に、医師本人と直接話せるか
- 合わなかった場合の条件——交代や解約の条件が契約書でどうなっているか
この5つに明確に答えられない紹介であれば、慎重になった方がよいと思います。
「誰が来るか、最初から分かっている」という選択肢
直接契約の最大の利点は、シンプルです。契約する前から、どんな医師が担当するのかが分かっていること。資格も、経験も、人柄も、確認してから決められることです。
ハートコミット合同会社では、代表医師が全契約先を直接担当します。内科専門医・循環器専門医・精神保健指定医という3つの専門資格をあわせ持つ、全国でも希少な産業医です。臨床経験20年・産業医経験5年。健診結果の判定から、メンタルヘルス不調への対応、休職・復職の判断、起きてしまった労使トラブルの医学的サポートまで、「専門外なので」とお断りすることはありません。
これまでの契約先で途中解約は0社、すべての契約先と継続中です。契約前の面談で、経歴も対応範囲もすべてご確認いただけます。紹介会社経由の産業医に不安や不満をお持ちの企業様の、乗り換えのご相談も歓迎しています。
兵庫(明石・神戸・加古川・姫路ほか)、大阪、オンラインで全国対応。初回のご相談は無料です。
まとめ
- 紹介会社の多くは案件メールへの「応募」で医師を決めており、どんな医師が来るかは事前に分からない仕組みになっている
- 産業医資格(認定産業医)は研修受講で取得でき、メンタル対応などの専門性を保証するものではない
- 紹介会社経由と直接契約で、企業の費用負担は実はあまり変わらない
- 紹介会社を使う場合は、専門資格の内訳・メンタル対応可否・臨床経験・事前面談・交代条件の5点を必ず確認する
- 直接契約なら、「誰が来るか」を確認してから決められる

