産業医の変更(乗り換え)は、思っているより簡単です|手順と「引き継ぎ」の本当のところ

「今の産業医の先生、うちに合っていない気がする」——人事・総務のご担当者様から、こうしたご相談をいただくことは少なくありません。そして多くの場合、その後にこう続きます。「でも、変更するのは大変ですよね」。

産業医の変更に法律上の制限はありません。契約書の予告期間(一般に1〜3か月)を守れば、どの企業でも変更できます。

結論からお伝えします。産業医の変更は、法的にも実務的にも、思っているより簡単ですこの記事では、変更を検討すべきサイン、具体的な手順、そして多くの企業様が心配される「引き継ぎ」の本当のところまで、丁寧にご説明します。

産業医は変更してよいのか

まず前提の確認です。産業医の変更に、法律上の制限はありません

産業医と企業の関係は「契約」です。多くは1年ごとの委託契約(嘱託契約)で、契約書に定められた予告期間(一般的には1〜3か月前の通知)を守れば、どの企業でも産業医を変更できます。医療機関を変えるのと同じで、変更したからといって企業側に不利益が生じることはありません。

変更後は、労働基準監督署へ「産業医の選任報告」を提出し直すだけです。これは新しい産業医の情報を記載した書類を1枚提出する手続きで、難しいものではありません(新しい産業医側がサポートするのが通常です)。

変更を検討すべきサイン

次のような状態に心当たりがあれば、変更を検討する時期かもしれません。

  • 訪問が形式的になっている。職場を見ず、書類に押印するだけで帰ってしまう
  • 衛生委員会に出席しない、または発言がない
  • メンタルヘルス対応を断られる。「専門外なので」と、休職者への面談や復職判断を引き受けてもらえない
  • 高ストレス者の面接指導を頼みにくい
  • 従業員が相談しづらい雰囲気がある
  • 費用と支援内容が見合っていないと感じる

産業医の選任は法律上の義務ですが、「名義だけの産業医」では、従業員の健康リスクにも、休職・復職やメンタルヘルスをめぐる労務トラブルにも、対応できません。義務を果たすためだけの契約から、実際に会社を守ってくれる契約へ——それが産業医変更の本質です。

変更の流れは5ステップ

  1. 新しい産業医を探し、面談する。自社の課題(メンタル対応、長時間労働、復職判断など)に対応できるか、相性を含めて確認します。当社も初回のご相談は無料です
  2. 現在の契約書を確認する。解約の予告期間(1〜3か月前が一般的)と通知方法を確認します
  3. 現在の産業医に解約を通知する。書面またはメールで、契約書の定めに沿って通知します。理由を詳しく説明する義務はありません。「契約を更新しない」「○月末で終了したい」で足ります
  4. 新しい産業医と契約し、選任報告を提出する。空白期間ができないよう、切替日を調整します
  5. 社内に周知する。従業員と関係部署に、新しい産業医と相談窓口を案内します

全体として、最短1〜2か月で切り替えが完了します。

「引き継ぎ」は、実はなくても大丈夫です

産業医の変更をためらう理由として最も多いのが、「前の先生からの引き継ぎがうまくいくか不安」というものです。特に、今の産業医との関係がぎくしゃくしている場合、「引き継ぎをお願いしづらいから変更できない」と考えてしまう企業様もいらっしゃいます。

ここで、はっきりお伝えしたいことがあります。引き継ぎは、丁寧であるに越したことはありませんが、必須ではありません。最悪の場合、引き継ぎがまったくなくても、産業医の変更は問題なく成立します。理由は3つあります。

第一に、重要な情報は産業医ではなく、会社が持っているからです。健康診断の結果、ストレスチェックの結果、長時間労働のデータ、休職者の状況——これらの記録は、法律上、事業者(会社)が保管するものです。前任の産業医しか知らない情報というのは、実はほとんどありません。

第二に、新しい産業医は「ゼロから現状を把握する」のが標準の仕事だからです。経験のある産業医であれば、初回の訪問で職場を巡視し、健診結果やストレスチェックの集団分析、休職者の状況を確認し、会社の健康課題を自分の目で把握します。前任者のメモがなくても、臨床経験に基づいて、目の前の資料と職場から必要な情報を読み取ります。

第三に、対応中の個別ケース(休職者など)も、本人と会社から直接引き継げるからです。休職中の従業員がいる場合も、新しい産業医が本人・人事担当者・主治医の診断書から状況を把握し直すのが通常の進め方です。むしろ、先入観なく新しい目で評価し直すことが、より適切な判断につながることもあります。

つまり、「引き継ぎが不安だから変更できない」と考える必要はまったくありません。引き継ぎの有無は、変更をためらう理由にはならない——これが実務の実感です。

空白期間だけは作らない

一点だけ注意があります。従業員50人以上の事業場では産業医の選任が法律上の義務のため、前の契約終了と新しい契約開始の間に空白期間を作らないことが大切です。

とはいえ、これも新旧の契約日を揃えるだけの話です。「現契約が○月末まで」とわかっていれば、新しい産業医との契約開始日をその翌月1日に設定すれば済みます。当社にご相談いただく場合も、現在の契約状況を伺ったうえで、空白が生じない切替スケジュールをご一緒に組み立てます。

乗り換えのご相談を歓迎しています

ハートコミット合同会社では、産業医の変更(乗り換え)のご相談を歓迎しています。

代表医師は、内科専門医・循環器専門医・精神保健指定医という3つの専門資格をあわせ持つ、全国でも希少な産業医です。臨床経験20年・産業医経験5年の経験をもとに、健診結果の判定から、メンタルヘルス不調の対応、休職・復職の判断、起きてしまった労使トラブルへの医学的サポートまで、ひとりで一貫して担当します。

これまでの契約先で、途中解約は0社。すべての契約先と継続中です。「前の産業医からの引き継ぎがない」状態からのスタートも、まったく問題ありません。

現在の産業医について気になることがある段階でも構いません。「変更すべきかどうかの相談」からで大丈夫です。兵庫(明石・神戸・加古川・姫路ほか)、大阪、オンラインで全国に対応しています。

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まとめ

  • 産業医の変更は法的にも実務的にも可能で、最短1〜2か月で完了する
  • 「名義だけの産業医」は、メンタルヘルスや労務トラブルから会社を守れない
  • 引き継ぎは必須ではない。重要な記録は会社側にあり、新しい産業医がゼロから現状を把握するのが標準。引き継ぎの有無を理由に変更をためらう必要はない
  • 唯一の注意点は空白期間を作らないこと。切替日の調整だけで解決できる

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