「従業員50人未満のうちの会社でも、メンタルヘルス対策にお金をかけるべきだろうか」——そうお考えの経営者・担当者の方に、ぜひ知っておいていただきたい制度があります。国の「団体経由産業保健活動推進助成金」です。
申請の主体は企業ではなく、商工会議所などの「事業主団体」。まずは所属団体への相談が第一歩です。
この記事では、制度の仕組みと使い方、注意点を、公的機関の情報に基づいてわかりやすく解説します。
どんな制度?——費用の一部を国が助成
団体経由産業保健活動推進助成金は、独立行政法人労働者健康安全機構が、厚生労働省の産業保健活動総合支援事業の一環として実施している助成金です。
中小企業や労災保険の特別加入者を支援する団体(商工会議所・商工会・同業組合など)が、傘下の中小企業等に対して、医師や保健師などと契約して産業保健サービスを提供した場合に、その費用と事務費用の90%(上限500万円、都道府県単位の事業主団体は1,000万円。1団体につき年度ごとに1回)が助成されます。
助成対象となる産業保健サービスには、次のようなものが含まれます。
- メンタルヘルスに関する相談・健康相談
- ストレスチェックの実施と、高ストレス者への医師による面接指導
- ストレスチェック後の職場環境改善支援
- 長時間労働者への医師による面接指導
- 健康診断結果についての医師からの意見聴取
- 健康教育・研修
大事な注意点:「会社が直接」は申請できません
ここが最も誤解されやすいポイントです。以前あった「小規模事業場産業医活動助成金」や「ストレスチェック助成金」のように、個別の会社が直接申請する形の助成金は、すでに廃止されています。
現行制度は「団体経由」——つまり、御社が加入している商工会議所や同業組合などの事業主団体が申請の主体となり、団体が医師等と契約して、傘下の企業に産業保健サービスを提供する仕組みです。
したがって、活用の第一歩は「自社が加入している(または加入できる)団体に、この助成金を使ったメンタルヘルス支援の実施を相談すること」になります。
もうひとつの注意点:年度の予算と受付期間
この助成金には年度ごとの予算枠と受付期間があります。令和8年度分は、2026年6月10日に申請受付が始まり、予算の上限に達したため7月10日に受付を終了しました(労働者健康安全機構の公表)。受付期間は1か月でした。令和9年度の実施内容は、機構の公表を待つことになります。活用を検討される場合は、受付が始まる前から所属団体と準備を進めておくことをおすすめします。
また、制度の内容や条件は年度により見直されることがあります。最新の手引きは労働者健康安全機構(JOHAS)の公式サイトで必ずご確認ください。
助成金が使えない場合の無料の選択肢
団体経由での活用が難しい場合でも、従業員50人未満の事業場には無料で使える公的サービスがあります。
- 地域産業保健センター(地さんぽ)——全国に設置され、長時間労働者や高ストレス者への医師による面接指導、健康相談などを無料で提供しています
- 産業保健総合支援センター(さんぽセンター)——各都道府県に設置され、メンタルヘルス対策の相談対応や事業場への訪問支援を無料で行っています
ただし、無料サービスは回数や内容に限りがあり、「継続的に同じ医師が自社を見てくれる」体制とは異なります。継続的な支援が必要な段階になったら、医師との顧問契約をご検討ください。
当社へのご相談について
ハートコミット合同会社では、すでに産業医がいる企業様向けに、メンタルヘルス領域だけを精神保健指定医(国が指定する精神科医の資格)が担当する「メンタルヘルス顧問医プラン」をご用意しています。従業員のメンタルヘルス相談・面談、受診の要否判断と医療機関のご紹介、復職に関する医学的意見の提示と、復職後のフォローアップ面談、高ストレス者・長時間労働者への面談までを含み、メールでのご相談込み(必要に応じてZoom・Teams・Google MeetなどのWeb会議にも対応)で全国に対応します。
従業員50名未満の企業様には、顧問契約(月額20,000〜50,000円・税別。料金はこちら)と、面談1件からのスポット産業医もご用意しています。
なお、この助成金の対象になるのは、所属団体が医師等と契約して会員企業へ提供するサービスです。企業が個別に結ぶ顧問契約の費用は対象になりません。所属団体が当社と契約する形であれば、活用できる可能性があります。「うちの場合は使えるのか」という段階のご相談からで構いません。所属団体への相談の仕方も含めて、ご一緒に整理します。
お問い合わせはこちら/メンタルヘルス・休職復職支援の詳細はこちら
まとめ
- 従業員50人未満の会社は、商工会議所・同業組合などの団体を通じて「団体経由産業保健活動推進助成金」を活用できる場合がある(費用の90%、上限あり)
- 会社が直接申請する旧制度は廃止済み。申請主体はあくまで事業主団体
- 令和8年度は受付開始から1か月で終了。次の年度に向けて、受付が始まる前から所属団体と準備を。最新情報は労働者健康安全機構の公式サイトで確認を
- 助成が使えない場合も、地域産業保健センター等の無料サービスという選択肢がある
この記事について
執筆:ハートコミット合同会社 代表医師(産業医/総合内科専門医・循環器専門医・精神保健指定医)
最終更新:2026年10月
参考資料:
- 団体経由産業保健活動推進助成金(労働者健康安全機構)
- ※助成金制度は変更される場合があります。最新の要件は公式情報をご確認ください(2026年10月時点)
※本記事の内容は一般的な情報です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、具体的な対応は契約先の産業医や所轄の労働基準監督署などにご確認ください。

