ストレスチェック義務化と健康経営──2028年に向けた「一石二鳥」の準備法【医師が解説】

従業員50人未満の会社にもストレスチェックの実施が義務付けられることが確定し(2028年4月1日施行・令和8年政令第195号)、施行に向けて準備を始める会社が増えています。一方で、取引先や採用の場面では「健康経営」という言葉を目にする機会も増えました。実はこの2つ、別々の課題ではありません。義務化対応として整える体制は、健康経営優良法人の認定要件とかなりの部分で重なります。この記事では、2つを別々にやると二度手間になる理由と、一度の準備で両方を取りにいく進め方を解説します。

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2028年4月、50人未満の会社にもストレスチェックが義務化されます

改正労働安全衛生法(令和7年5月公布)により、これまで従業員50人以上の事業場に限られていたストレスチェックの実施義務が、50人未満の事業場にも拡大されます(2028年4月1日施行が令和8年政令第195号で確定しています)。検査を実施するだけでなく、医師等の「実施者」を確保し、高ストレス者から申出があれば医師による面接指導につなぐところまでが、会社に求められる対応です。

ストレスチェックは、健康経営の評価項目でもあります

健康経営®とは、従業員の健康管理を経営課題としてとらえて戦略的に取り組む経営手法で、優れた実践企業は「健康経営優良法人」として認定されます(経済産業省が制度設計、日本健康会議が認定)。そして、ストレスチェックの実施やメンタルヘルス対策は、この認定の評価項目に含まれています。つまり、義務化対応で整えるものは、そのまま認定への持ち点になります。

※「健康経営®」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。

重なるのはストレスチェックだけではありません

両者の重なりは想像以上に広いのです。定期健康診断の受診率(実質100%)と健診後の医師の意見(事後措置)は、労働安全衛生法で会社に求められる対応です。認定でも、健診受診率(実質100%)は選択項目の一つになっています。長時間労働者への医師の面接指導も、法の制度であり評価項目でもあります。受動喫煙対策は健康増進法への対応と重なり、認定では必須項目です。義務としてどのみち整えるべき項目が、認定要件の骨格をそのまま構成している——これが両者の関係です。

「別々にやる」と二度手間になります

ストレスチェックはA社のサービスで、健康経営の書類は別のコンサルタントで、健診後の医師意見はまた別で——と窓口を分けると、同じ情報を何度も説明し、記録の様式もばらばらになりがちです。特に見落とされやすいのが記録の残し方です。認定申請では「いつ・誰が・何を実施し、どんな結果だったか」の証拠が求められるため、義務化対応の段階から認定を見据えた形で記録を残しておけば、申請時の作業は大きく減ります。逆に、後から記録を掘り起こすのは想像以上に大変です。

一度の準備で両方を取りにいく、3つの手順

手順1:現状の棚卸し。健診の受診状況・ストレスチェックの実施状況・喫煙対策の有無を確認します。これは義務化対応の出発点であり、認定の着手前診断そのものでもあります。手順2:医師を軸に体制を組む。ストレスチェックの実施者・健診後の意見・高ストレス者の面接は、いずれも医師の関与が必要です。同じ医師が一貫して担う体制にすれば、窓口は1つで済みます。手順3:記録を認定の様式で残す。実施計画・案内文・実施記録を、最初から申請に使える形で整えます。

まとめ──「どうせやる対応」に看板を付ける

2028年の義務化は避けられません。であれば、同じ準備に少しだけ視野を足して、健康経営優良法人という採用や取引に効く「看板」まで取りにいくのが、50人未満の会社にとって最も無駄のない進め方です。ストレスチェック義務化への具体的な準備はこちらのページを、認定取得まで含めた医師の伴走支援は健康経営支援サービスをご覧ください。


ハートコミット合同会社(兵庫県明石市)は、精神保健指定医・産業医である代表医師が、ストレスチェックの実施者から高ストレス者への医師面接までを担い、健康経営優良法人の取得伴走支援も行います。義務化対応と認定準備を一度の体制づくりで進めたい企業様のご相談を承ります。

執筆・監修:黒田 優(精神保健指定医・産業医・総合内科専門医・循環器専門医)

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