復職は主治医の診断書だけで決めていい?──復職判定面談の役割

休職中の従業員から「主治医に復職可と言われました」と診断書が届いた──このとき、そのまま復職させてよいのでしょうか。結論から言うと、主治医の診断書は復職判断の重要な材料ですが、それだけで決めるのはリスクがあります。この記事では、その理由と、復職判定面談という仕組みを解説します。

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主治医の「復職可」と、会社が知りたいことのずれ

主治医が担うのは病気の診断と治療です。主治医の「復職可」は、多くの場合「症状が改善し、日常生活を送れる程度に回復した」という意味です。一方、会社が知りたいのは「毎朝定時に出社し、自社の業務を継続的にこなせるか」「どんな配慮があれば安全に働けるか」という就業上の判断です。

この2つは同じではありません。日常生活の回復と、通勤・勤務に耐える回復の間には段差があり、ここを埋めずに復職させると、数週間で再び休職に至るケースが実際に多く見られます。また主治医は本人の訴えをもとに診断するため、本人が復職を急いでいる場合、職場の実情まで踏まえた判断は構造的に難しいという事情もあります。

復職判定面談とは

復職判定面談は、産業医(または会社が依頼した医師)が本人と面談し、就業の観点から回復状態を評価して、会社に意見を伝える仕組みです。面談では、たとえば次のような点を確認します。

  • 生活リズム:起床・睡眠が安定し、通勤時間帯に活動できているか
  • 症状の安定性:通院・服薬の状況、再発の兆候の有無
  • 業務遂行のイメージ:集中力・対人対応が業務に耐える水準か
  • 職場側の受け入れ準備:業務量の調整、時短勤務などの配慮の要否

面談の結果は「復職可」「条件付き可(時短勤務から開始、残業禁止など)」「時期尚早」といった意見書として会社に提出されます。重要なのは、医師の意見はあくまで判断材料であり、最終的な復職の決定は会社が行うという建て付けです。医学的な根拠を持って決定できることが、本人にとっても会社にとっても、再発を防ぐ最大の安全装置になります。

就業規則の「会社指定医」条項を活かすには

就業規則に「復職にあたっては、会社の指定する医師の診断(面談)を受けるものとする」という条項を設けている会社は少なくありません。この条項は、実務上はこの復職判定面談によって運用されます。ただし、条項があっても実際に依頼できる医師がいなければ絵に描いた餅です。休職者が出た時点で、復職時に面談を依頼できる医師を確保しておくことをお勧めします(休職発生時の初動はこちらの記事で解説しています)。

産業医がいない会社でも依頼できます

復職判定面談は、継続的な産業医契約がなくても、単発(スポット)で依頼できます。当社では、事前の状況整理から本人との面談、就業上の措置に関する意見書の作成、会社への結果説明までを一連でお引き受けしています。メンタル・休職復職支援の詳細はこちらお問い合わせはこちら


執筆・監修:黒田 優(精神保健指定医・産業医・内科・循環器内科専門医)。精神保健指定医として、メンタルヘルス不調の休職・復職判断を数多く担当しています。

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