50人未満の会社がストレスチェック義務化までにやるべき「3つの準備」|産業医が実務目線で解説

2028年4月から、従業員50人未満の事業場にもストレスチェックの実施が義務化される方針です(制度の概要はこちらの記事をご覧ください)。

とはいえ、初めての会社にとっては「具体的に何をすればいいのか」がいちばんの悩みどころだと思います。

結論から言うと、今の段階でやるべき準備は3つに絞れます。この記事では、その3つを順番に解説します。

準備1:対象になる「事業場」と「人数」を確認する

最初にやるべきことは、書類仕事ではなく、自社の現状把握です。

ストレスチェックの義務は、会社全体ではなく事業場ごとに判断されます。まず、次の点を整理してみてください。

  • 自社に「事業場」がいくつあるか(本社、支店、店舗、施設など)
  • それぞれの事業場で働く人数(パート・アルバイトも、勤務時間などの条件により対象に含まれます)

ここが整理できていないと、見積もりも計画も立てられません。逆に言えば、この一覧表が1枚できれば、準備の半分は終わったようなものです。

複数の小さな事業場を持つ会社では、「どの単位で実施するか」「集団分析をどうまとめるか」という論点も出てきます。この部分は判断が分かれやすいので、迷ったら専門家に相談することをお勧めします。

準備2:実施方法を決める(自社でやるか、外部に任せるか)

次に決めるのは、実施の方法です。大きく分けると選択肢は2つあります。

自社で実施する場合、質問票の配布・回収、結果の管理、高ストレス者の判定などを社内で回すことになります。ただし、結果を取り扱える人(実施者・実施事務従事者)には制度上の要件があり、人事権を持つ人が個人結果に触れることはできません。専任の担当者がいない中小企業では、この体制づくり自体がハードルになりがちです。

外部に委託する場合、Web受検システムと専門家(実施者)の組み合わせで、社内の作業を大幅に減らせます。従業員はスマートフォンやパソコンから受検し、結果の管理は外部の仕組みの中で完結します。個人結果が社内に置かれないため、従業員にとっても安心材料になります。

50人未満の会社には保健師や産業医がいないことがほとんどですから、実務的には外部委託が現実的な選択になるケースが多いと考えています。

委託先を選ぶときは、料金だけでなく「誰が実施者になるのか」「高ストレス者が出た後まで対応してくれるのか」を確認してください。ここが、次の準備3につながります。

50人未満の企業向け医師によるストレスチェック支援サービス(料金・進め方はこちら)
目次

準備3:「結果が出た後」の体制を考えておく

意外に思われるかもしれませんが、ここがいちばん大切な準備です。

ストレスチェックは、実施して終わりの制度ではありません。結果として、次の2つが手元に届きます。

  • 高ストレスと判定された従業員からの、医師面接の申出(本人が希望した場合)
  • 職場ごとのストレス傾向を示す集団分析の結果

このとき「面接してくれる医師のあてがない」「分析結果を渡されたが、読み方が分からない」となってしまうと、せっかくの実施が形だけで終わります。実は、50人以上の会社でも、ここで止まってしまうケースは珍しくありません。

準備の段階で、次の2点だけ決めておいてください。

  • 高ストレス者から申出があったとき、誰が面接するのか
  • 集団分析の結果を、誰が説明し、職場の改善にどうつなげるのか

この「後工程」まで含めて設計しておくことが、制度対応を「やらされ仕事」ではなく職場改善の機会に変える分かれ目です。

3つの準備、いつまでに?

目安のスケジュール感です。

  • 〜2026年度中:準備1(事業場と人数の整理)、情報収集
  • 2027年度:準備2・3(委託先と体制の決定)。可能なら試行実施
  • 2028年度:義務化スタート。2029年3月31日までに初回実施を完了

義務化初年度は委託先や医師の面接枠が混み合うことが予想されるため、1年前倒しの2027年に一度実施しておくのが、実はいちばん無理のない進め方です。

準備についてよくあるご質問

ストレスチェックの実施者は誰がなれますか?

医師と保健師のほか、所定の研修を修了した看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師です。外部委託の場合は、委託先の実施者がこの役割を担います。

外部委託では、どこまでやってもらえますか?

調査票の配布・回収から、実施者としての判定、本人への結果通知、高ストレス者の抽出、集団分析まで一括で任せられるのが一般的です。会社側の作業は対象者名簿の準備が中心になります。

高ストレス者が出たら、会社は何をすることになりますか?

本人から申出があった場合に、医師による面接指導を実施します。結果の扱いには本人同意のルールがあります。結果は会社に見られる?の記事で詳しく解説しています。

準備はいつから始めるべきですか?

施行の半年前から1年前には実施方法を決めておくことをおすすめします。義務化直前は外部委託先の予約が集中することが予想されるためです。

STRESS CHECK SUPPORT

「まず、うちの場合はどうなるのか知りたい」という段階のご相談で構いません。

ハートコミット合同会社では、2027年に数社限定の有料パイロット実施を予定しています。医師が実施者として関与し、高ストレス者面接から集団分析の説明、職場改善のご提案まで一貫して支援します。準備1の「事業場の整理」からご一緒できますので、お気軽にご相談ください。

サービスの詳細・料金を見る導入について相談する

この記事を書いた人

目次