「ストレスチェックって、結局なにをするものですか?」——義務化のニュースを見た経営者の方からも、受ける側の従業員の方からも、よくいただく質問です。
先に答えをお伝えします。ストレスチェックとは、年に1回、質問票に答えて自分のストレスの状態を測る、国が定めた制度です。いわば「心の健康診断」で、病気を診断するものではありません。この記事では、何を測っていて、何がわかり、何が「わからない」のかを、実施者を務める産業医の立場から解説します。
ストレスチェックとは:年1回の「心の健康状態のセルフチェック」
ストレスチェックは労働安全衛生法に基づく制度で、2015年12月に始まりました。現在は常時50人以上の労働者がいる事業場に年1回の実施が義務づけられています(2028年からは50人未満にも拡大予定です)。
従業員が選択式の質問票に答え、その結果を医師などの「実施者」が確認して、ストレスの程度を評価します。標準的に使われるのは「職業性ストレス簡易調査票」という57項目の質問票で、回答は10分ほどで終わります。
何を測っているのか:3つの領域
57項目は、大きく3つの領域に分かれています。
- 仕事のストレス要因——仕事の量や質、裁量の度合い、職場の人間関係など、ストレスの「原因」にあたる部分
- 心身のストレス反応——イライラ、疲労感、不安、抑うつ感、不眠や食欲といった、いま現れている「反応」
- 周囲のサポート——上司・同僚・家族に相談できるかという、ストレスを和らげる「支え」
原因・反応・支えの3方向から測ることで、「負荷が高いのに支えが少ない」といった、本人も気づいていない状態のかたよりが見えてきます。
結果から何がわかるのか
本人にわかること:自分のストレス反応の強さ、その背景にある要因、そして「高ストレス」に該当するかどうかが、点数やレーダーチャートで通知されます。自覚がないまま負荷が積み上がっているケースは珍しくなく、年1回の定点観測として意味があります。
会社にわかること:個人の結果は本人の同意なく会社には渡りません。会社が受け取れるのは、部署などの集団単位で傾向をまとめた「集団分析」の結果です。どの部署に負荷が集中しているかがわかるため、職場改善の出発点になります。個人情報の扱いは結果は会社に見られる?で詳しく解説しています。
ストレスチェックで「わからないこと」
ここは実施者として強調しておきたい点です。ストレスチェックはうつ病などの診断ではありません。あくまで「いまのストレス状態」を測るスクリーニングであり、高ストレスと判定されても病気というわけではなく、逆に判定されなかったから安心とも限りません。
その日の体調や直近の出来事で点数は変わりますし、本人が無理に「大丈夫」と答えれば数字には表れません。だからこそ、結果は「不調の芽に早く気づくきっかけ」として使い、気になる状態が続くときは面接指導や医療機関につなぐ——この橋渡しまでが制度の役割だと考えています。
高ストレスと判定されたら
高ストレスに該当し、本人が申し出た場合には、医師による面接指導が行われます。面接では仕事の状況と心身の状態を確認し、必要に応じて働き方の調整(残業制限など)を会社に意見します。申出を理由に不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。詳しい流れは高ストレス者の面接指導をご覧ください。
50人未満の会社にも、2028年から義務化へ
これまで義務の対象は50人以上の事業場でしたが、法改正により50人未満の事業場にも拡大され、2028年4月からの適用が予定されています。準備の進め方は義務化までにやるべき3つの準備を、当社の支援内容はストレスチェック支援サービスをご覧ください。
ストレスチェックとは?よくあるご質問
質問は何項目ありますか?時間はかかりますか?
標準的に使われる「職業性ストレス簡易調査票」は57項目です。選択式で、10分ほどで回答できる分量です。
うつ病かどうかの診断をされるのですか?
されません。ストレスチェックは病気の診断ではなく、ストレス状態のセルフチェック(スクリーニング)です。診断や治療が必要な場合は、医療機関の受診という別のステップになります。
正直に答えても大丈夫ですか?
大丈夫です。個人の結果は本人の同意なく会社に渡らない仕組みになっています。詳しくは結果は会社に見られる?の記事で解説しています。
高ストレスと判定されたらどうなりますか?
本人が希望して申し出た場合に、医師による面接指導を受けられます。申出を理由とする不利益な取扱いは法律で禁止されています。流れは高ストレス者の面接指導の記事をご覧ください。
STRESS CHECK SUPPORT
はじめてのストレスチェックを、医師と一緒にはじめませんか。
ハートコミット合同会社では、精神保健指定医・産業医である代表医師が実施者となり、制度のご説明から実施、高ストレス者の面接指導まで一貫して支援しています。はじめての導入でも、従業員向けの案内文からご用意します。

