産業医選任報告書の書き方|記入例・様式・添付書類・提出先までわかりやすく解説

この記事の結論(3行で)

  • 提出するのは「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告」。選任義務が生じた日から14日以内に選任し、遅滞なく事業場を管轄する労働基準監督署へ報告します。2025年1月1日から電子申請が義務化されており、書面での報告は電子申請が難しい場合の経過措置です。
  • 添付書類は、医師免許証の写しと「産業医の資格を証する書面」(日本医師会認定産業医の認定証の写しなど)。認定証は有効期限内のものを用意します。
  • 迷いやすいのは選任年月日(契約開始日、届出日ではない)、労働者数(事業場単位・パート含む)、医籍番号(産業医本人に確認)の3欄。記入に必要な情報は産業医側が提供するのが通常です。

産業医との契約が決まったら、次にやるべきことが労働基準監督署への「選任報告」です。はじめての担当者には見慣れない手続きですが、報告する項目は多くありません。ポイントさえ押さえれば難しくありません。

提出するのは「産業医選任報告」。選任義務が発生した日から14日以内に選任し、遅滞なく所轄の労働基準監督署へ報告します。報告は電子申請で行います(2025年1月1日から義務化)。

この記事の要点

提出先事業場を管轄する労働基準監督署
報告の名称総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告
期限選任は事由発生から14日以内。報告は選任後、遅滞なく
添付書類医師免許証の写しと、産業医の資格を証する書面(日本医師会認定産業医の認定証の写しなど)
提出方法電子申請(2025年1月1日から義務化)。電子申請が難しい場合に限り、当分の間は書面でも報告できる。押印は不要
目次

報告の方法——電子申請が基本です

産業医の選任報告は、2025年1月1日から電子申請が義務化されています。厚生労働省の「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」で項目を入力すると、e-Govを経由してそのまま電子申請できます。パソコンがないなど電子申請が難しい場合は、当分の間、書面で所轄の労働基準監督署へ報告することも認められています。以前の「様式第3号」は省令から削除されましたが、書面で報告する場合は削除前の様式を使えます。

報告する項目と記入例

選任報告は、総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者と共通の報告です。産業医だけを報告する場合、産業医に関係のない項目は入力不要です。

事業の種類日本標準産業分類の中分類で記入(例:「金属製品製造業」「建設業」「情報サービス業」)。分からなければ労基署に電話で確認できます
事業場の名称・所在地・電話番号本社ではなく、産業医を選任する事業場(工場・支店)の名称と住所。複数事業場で選任する場合は事業場ごとに1枚
労働者数その事業場で常時使用する労働者数。パート・アルバイト・派遣社員(派遣先でも算入)を含む。企業全体の人数ではない
選任区分「産業医」にチェック(または該当欄に記入)。衛生管理者も同時に選任した場合は両方に記入して1枚で提出可
選任年月日産業医契約の開始日(例:令和8年10月1日)。届出日や契約書の締結日ではない
氏名・生年月日産業医の氏名(フリガナも)と生年月日。認定証の記載と一致させる
専属・非専属の別月1回訪問などの嘱託契約は「非専属(嘱託)」。専属は常時1,000人以上または有害業務500人以上の事業場のみ
産業医の資格要件労働安全衛生規則第14条第2項のどの要件に該当するかを記入。認定産業医は、厚生労働大臣の指定する者が行う研修を修了した者(第1号)に該当
医籍番号・登録年月日医師免許証に記載の番号と登録日をそのまま転記。産業医本人から書面で受け取るのが確実
専門科名・他の事業場での勤務・前任者産業医の専門科名、専属かどうか、他の事業場にも勤務している場合はその事業場の名称を報告する。前任の産業医がいた場合は、前任者の氏名と辞任・解任・退任の年月日もあわせて報告する(2026年8月1日から)。内容は産業医本人に確認する

添付書類——「資格を証する書面」

添付が必要なのは、産業医としての要件を満たすことを証する書面です。実務では日本医師会の認定産業医の認定証の写しを添付するのが最も一般的です。当社とご契約いただいた場合、記載に必要な情報と認定証の写しはこちらでご用意しますので、企業様は事業場情報を記入するだけで済みます。

添付書類の一覧

① 産業医の資格を証する書面(必須)日本医師会認定産業医の認定証の写し。有効期限(5年更新)内のものであること。労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)の合格者は合格証の写し。大学で労働衛生を担当する教授等は在職証明書の写しなど
② 医師免許証の写し(必須)厚生労働省の「産業医選任報告の際に必要な添付書類」では、どの資格区分でも医師免許証の写しが挙げられている。産業医から写しを受け取り、①と一緒に添付する
③ 衛生管理者を同時に報告する場合衛生管理者免許証の写しなど、資格を証する書面。産業医と同じ報告でまとめて提出できる
提出方法電子申請では、項目を入力し、添付書類をPDFなどのファイルで添える。電子申請が難しく書面で報告する場合の部数や控えの扱いは、所轄の労働基準監督署に確認する

添付書類でよくある不備

  • 認定証の期限切れ:認定産業医は5年ごとに更新が必要。更新前の古い認定証の写しを添付すると差し戻される。更新手続き中なら、その旨を産業医から一筆もらう
  • 写しが不鮮明:認定番号・有効期限が読めないコピーは不備扱い。カラーである必要はないが、文字が読めること
  • 医籍番号の転記ミス:認定証には医籍番号が載っていないため、医師免許証を見て転記する。産業医から書面(メール可)で番号と登録日をもらう
  • 労働者数を全社で書いている:事業場単位の人数に直す。50人未満の事業場は選任義務がないため、報告も不要
  • 選任年月日を届出日にしている:契約開始日に修正。選任そのものは義務が生じた日から14日以内に行い、報告は選任後すみやかに行う

提出までの流れ(4ステップ)

  1. 電子申請の準備:厚生労働省の入力支援サービスを開き、e-Govのアカウントを用意する。電子申請が難しい場合は、所轄の労働基準監督署に書面での報告方法を確認する
  2. 産業医から必要情報を受け取る:氏名・生年月日・医籍番号・登録年月日・資格要件・認定証の写し(・医師免許証の写し)。当社では契約時にこの一式を書面でお渡しします(初めて産業医を選任する企業の方へ)
  3. 事業場情報を入力:事業の種類・名称・所在地・労働者数・選任年月日を入力。押印は不要
  4. 申請と控えの保管:入力支援サービスからe-Govを経由して電子申請する。受付結果(書面の場合は控え)を、産業医契約書と一緒に保管

提出後にやること

  • 衛生委員会の設置と開催:50人以上の事業場は衛生委員会を毎月開催し、産業医を委員に加える。議事録は3年間保存
  • 産業医の周知:産業医の業務内容と、労働者が産業医に健康相談できる方法を、掲示や社内ポータルなどで従業員に周知する義務がある(労働安全衛生法101条2項)
  • 労働者数の変化に注意:事業場が1,000人以上になると専属産業医が必要。逆に50人未満に減っても、契約を続けるかは任意
  • 産業医が交代したとき:新しい産業医について改めて選任報告を出す。2026年8月1日からは、産業医の辞任・解任・退任も労働基準監督署への報告が義務になった。後任の選任報告で前任者の氏名と辞任等の年月日をあわせて報告すれば、別の報告は不要。後任が決まらないまま辞任・解任となった場合は、その報告を遅滞なく行う。辞任・解任の理由は衛生委員会にも報告する

従業員50人未満の会社は提出不要です

産業医の選任義務は常時50人以上の労働者を使用する事業場に生じるため、50人未満の事業場では選任報告の提出も不要です。ただし、50人未満でも健康診断後の医師の意見聴取や長時間労働者の面接指導は義務であり、2028年4月1日からはストレスチェックも義務化されます。50人に近づいている会社は、選任義務の基準と数え方を産業医の選任義務は従業員50人からで確認しておいてください。

よくあるつまずきポイント

  • 提出先は本社ではなく「事業場ごと」の所轄労基署
  • 産業医を変更(交代)した場合も、新たに選任報告が必要
  • 衛生管理者の選任報告と同じ報告なので、まとめて提出できる

報告を怠ると是正勧告の対象になり得ますが、逆に言えば、この報告を済ませれば選任義務への対応は形になります。書き方に迷ったら、契約先の産業医に聞くのが一番の近道です。

選任報告でよくあるご質問

添付書類は何が必要ですか?

医師免許証の写しと、産業医としての資格を証する書面(日本医師会認定産業医の認定証など)の写しです。原本は不要で、コピーで構いません。

提出期限はいつまでですか?

選任義務が生じた日から14日以内に産業医を選任し、選任後は遅滞なく所轄の労働基準監督署へ選任報告を提出します。

電子申請はできますか?

はい。2025年1月1日から電子申請が義務化されており、厚生労働省の入力支援サービスからe-Govを経由して申請します。電子申請が難しい場合に限り、当分の間は書面での報告も認められています。

産業医を交代した場合も提出が必要ですか?

必要です。新しい産業医について改めて選任報告を提出します。2026年8月1日からは前任者の辞任・解任等の報告も義務になりましたが、後任の選任報告とあわせて報告すれば足ります。交代の進め方は産業医の変更・交代の記事で解説しています。

認定産業医の認定証の有効期限が切れている場合はどうすればよいですか?

期限切れの認定証の写しでは不備になります。産業医に更新手続きの状況を確認し、更新済みの認定証の写しを添付してください。更新申請中の場合は、その旨を産業医に一筆書いてもらい、更新後に写しを追加提出する形で労働基準監督署に相談します。

複数の事業場で同じ産業医を選任する場合、報告は1枚でよいですか?

事業場ごとに1枚ずつ、それぞれの事業場を管轄する労働基準監督署へ提出します。産業医の情報は同じでも、事業場の名称・所在地・労働者数・選任年月日は事業場ごとに異なるためです。

産業医の選任や体制づくりでお悩みの企業様は、こちらからお気軽にご相談ください。初回のご相談は無料です。

この記事について

執筆:ハートコミット合同会社 代表医師(産業医/総合内科専門医・循環器専門医・精神保健指定医)
最終更新:2026年10月

参考資料:

※本記事の内容は一般的な情報です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、具体的な対応は契約先の産業医や所轄の労働基準監督署などにご確認ください。

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